いかがなさいましたか?
●慢性の咳 ●甲状腺

○慢性の咳○

「風邪ではないのに、3週間以上も空咳が続いています。」
咳だけが唯一の症状で3週間以上続き、胸のレントゲン検査や肺機能検査では原因のわからない咳のことを「慢性咳嗽(まんせいがいそう)」といいます。
咳には、痰がらみの咳と、痰を伴わない空咳とがあります。痰がらみの咳は、痰を体外に出すための咳であり、原因は主に気管支や肺の感染症によって起こります。
空咳は、気管支が刺激を受けて過敏になったり、気管支を包む筋肉が縮むことによって出る咳であり、慢性咳嗽を来たす病気の多くは空咳となります。

「なぜ慢性咳嗽になるのですか?」
私たちが絶えず吸い込む空気中にはさまざまな粉塵、細菌やウィルスなどの病原体、アレルギーの原因となる花粉やハウスダストなどが含まれています。
呼吸によって肺に吸い込まれたこれらの物質が、気管支に分布する知覚神経を刺激すると咳が出ます。
さらに刺激によって痰を生じると痰を外に出すために、さらに咳が出るようになります。
気管支に慢性的な刺激が存在していると慢性咳嗽となり、それを除去しない限り咳は持続することとなります。
慢性の咳を誘発する刺激として、咳喘息では吸い込まれる空中の微細なアレルギー物質、逆流性食道炎では食道を逆流し気管支へ流れ込む少量の胃液があります。
また、感染後咳では気管支に長く留まる特殊な細菌、咳を出す神経の興奮を高める血圧の薬、気管支に起こる結核や腫瘍や異物、慢性副鼻腔炎では、副鼻腔から喉を流れ落ちる膿汁、また慢性気管支炎ではタバコの煙などがあります。

「私の咳の原因は何でしょう?」
寝る前、深夜あるいは早朝に咳が出やすかったり、冷気、運動あるいは喫煙などで咳が強くなるようだったり、本人か家族にアレルギーやアトピー体質がある場合は咳喘息の可能性が高くなります。
心因性の咳では、睡眠中には咳が止まることが特徴です。
風邪をひいた後に咳が続くようになった場合には感染症後咳の可能性が高く、またある種の血圧の薬を服用している場合には、血圧の薬が咳の原因になっていることがあります。
微熱、倦怠感、寝汗などがあると気管支の結核を、また喫煙者で血痰がある場合には、気管支の腫瘍を疑います。
また過去に口に入れたものでむせたりしたことがあった場合には、気管支に詰まった異物が咳の原因となっていることもあり、注意が必要です。
喉を鼻汁が流れる感じや頬の痛みがあれば慢性副鼻腔炎による咳を、また胸焼けがあると逆流性食道炎による咳を疑います。

「どんな治療になりますか?」
まず慢性咳嗽の原因を調べるために、血液や痰の検査、アレルギーの検査、レントゲン検査、CTスキャン、気管支ファイバースコープ検査、胃カメラなどが行われます。
その結果、咳喘息には、気管支の収縮を取る薬の吸入、内服、貼付などが有効であり、ステロイドの吸入も使用されます。
逆流性食道炎には、胃液の分泌を下げる薬や胃腸の運動をよくして胃の内容物を早く腸へ送る薬が使われます。
感染後咳は、さらに経過を観察してゆけば自然に咳はとまっていきますが、マイコプラズマなどの感染が持続しているようであれば、それに有効な抗生物質が使われます。
高血圧の薬の副作用による咳は、ACE阻害薬という薬で起こるため、その薬の服用を止めると1週間程度で消失します。
慢性副鼻腔炎には、ある種の抗生物質を少量、長期にわたり服用してもらい、副鼻腔からの去痰を促進する喀痰溶解薬を投与します。
慢性気管支炎では禁煙することが大切です。
そのほか心因性の咳には安定剤が、また気管支の結核には結核の薬が投与され、気管支の腫瘍には外科的切除手術が、また気管支の異物には気管支ファイバースコープによる異物除去術が行われます。